フリーレントとは?賃貸契約でのメリット・デメリットと注意点を解説
はじめに
賃貸契約などでよく耳にするフリーレントは、直訳すると「家賃無料」という意味です。
直訳通りの家賃無料がずっと続くわけではなく、賃貸契約の契約期間中、一定期間の家賃が無料になる契約形態を指す言葉になります。しかし、この説明だけでは、具体的にフリーレントがどのようなものなのかわからない人もいるでしょう。
そこで、この記事ではフリーレントとは、賃貸契約でのメリット・デメリット、利用する際のポイント、どんな人に向いているかについて詳しく解説します。
フリーレントの基本情報
まずは、フリーレントの基本情報について見ていきましょう。
フリーレントの意味とは?
フリーレントに具体的な定義はありませんが、「入居後の一定期間の家賃が無料になる物件」が主にフリーレント物件と呼ばれます。フリーは「無料」、レントは「家賃」を意味する言葉で、直訳すると「家賃無料」を意味するわけです。
つまり、賃貸契約の契約期間中、一定期間の家賃が無料になる契約形態を指すと言えます。
フリーレントと似たような言葉に「敷金礼金なし」や「保証金ゼロ」などがありますが、厳密には別物となるのでご注意ください。
あくまでもフリーレントは一定期間の家賃が無料になるものであり、敷金・礼金や保証金が別途で必要となることがあります。家賃が無料になる期間も数日~数週間だったり、1か月~2か月だったりとフリーレント物件によって変わるため、条件を確認しておくことが重要です。
物件によっては以下のように期間が設定されていることがあるのでしっかりチェックしましょう。
・入居日から月末までの日割り家賃が無料
・入居日から数えて1か月分の家賃が無料
・入居月を含め2か月分の家賃が無料
なお、家賃が無料でも管理費や共益費など、家賃以外にかかる費用は毎月の支払いが求められることもあります。事前によく確認してください。
フリーレントが適用される理由
フリーレントは借主にとって魅力的な選択肢と言えそうですが、実は貸主にとっても魅力的な選択肢の1つです。実際に物件の大家やオーナーによっては空室対策や入居者獲得という観点から、あえてフリーレントにしているところもあります。
最近では賃貸市場でのトレンドや背景を受け、フリーレントにしているところも珍しくありません。
仮に1年ほど空室が発生した場合、大家やオーナーにとっては12か月分の家賃収入の喪失に繋がるため、常に入居者がいる状況にしておきたいわけです。ゆえに、1か月分ないし2か月分の家賃を無料にしてでも、空室を防いで入居者を得たいという思惑があります。
フリーレントは家賃を一定に保ちつつ借主の負担軽減をアピールできるため、最近ではよく選ばれている契約形態と言えるでしょう。
フリーレントのメリット
ここでは、フリーレントのメリットについて見ていきましょう。
初期費用を大幅に抑えられる
フリーレントは、初期費用を大幅に抑えられるのがメリットです。
一般的な賃貸物件では、基本的に以下のような費用が必要となります。
・管理費
・共益費
・敷金礼金
・仲介手数料
・保証金
・家賃
フリーレント物件でも管理費や共益費、敷金礼金、仲介手数料、保証金などがかかりますが、数ヶ月分の家賃を支払わなくて済むため、初期費用の軽減に繋がります。
家賃によっては数万円~数十万円が必要となりますが、フリーレント物件であれば初期の家賃が無料となるので、引っ越し費用とのバランスも取りやすくなるのではないでしょうか。
もちろん、フリーレント期間中も新居に出入りできるため、旧居と行き来しながら引っ越しができます。ある程度の引っ越し時期をコントロールできるので、時間的にも場所的にも焦らずに済ませられるのも魅力です。
契約開始直後の金銭的負担が軽減される
フリーレントは、契約開始直後の金銭的負担が軽減されるのもメリットです。
物件によっては数ヶ月分の家賃が無料となるため、新生活にも経済的な余裕が生まれやすくなります。
新生活では引っ越しの費用だけでなく、家具や家電を集めたり、消耗品や日用品を揃えたりするのにお金がかかります。他にも、生活基盤を安定させるために何かと出費がかさむものです。
フリーレントはそうした経済的負担の軽減に繋がることもあって、貯金があまりない人にもおすすめと言えるでしょう。
賃貸契約を有利に進められるケースも
実は、フリーレントの物件は賃貸契約を有利に進められるケースもあります。
入居時には「家賃を滞りなく払ってくれるのか」などを主軸に審査が行われるのですが、フリーレント物件であれば交渉材料として活用可能です。
例えば、即入居を条件にフリーレントにしてもらうよう交渉したり、入居年数を条件にフリーレントにしてもらうよう交渉したりと、うまく立ち回ることでより有利に賃貸契約を結べるかもしれません。
引っ越しのタイミングの問題などで、現在お住まいの物件と引っ越し先の物件の二重家賃となりそうな場合は、数ヶ月分のフリーレントを付けてもらえるように交渉するのも良いのではないでしょうか。
あくまでも借主が貸主に対して無謀な要求をするのはマナー違反ですが、適度に交渉するとフリーレント期間を延長してくれる可能性もあります。ぜひ交渉してみてください。
フリーレントのデメリットと落とし穴
ここでは、フリーレントのデメリットと落とし穴について見ていきましょう。
フリーレント期間終了後の家賃負担が大きい
フリーレントは、フリーレント期間終了後の家賃負担が大きくなるのがデメリットです。
初期費用を軽減できるのがフリーレントの魅力ですが、長期的な目線で見るとランニングコストがかかります。
特に、フリーレント期間終了後は一気に数万円~数十万円の家賃が発生することになり、生活を圧迫しかねません。フリーレントがあっても家賃を加味した資金計画が必要となるでしょう。
フリーレント付き物件の注意点
フリーレントは、フリーレント付き物件ならではの注意点がいくつかあります。例えば、以下のようなものが代表的です。
・短期解約時の違約金
・契約期間中の条件変更リスク
フリーレントは上記のように、短期解約時に違約金が発生したり、契約期間中に条件変更のリスクがあります。
大家やオーナーの意向でフリーレントが点いているだけで、一生家賃を払わなくて良いわけではないため、条件については細かな確認が必須です。
中でも、違約金や条件変更のリスクについては生活に直結することがあるので、フリーレント期間の前後でどのように変化するのかについて確認しておきましょう。
フリーレントの落とし穴
フリーレントは、落とし穴があるのもデメリットです。
例えば、提示されている条件が曖昧だったり、入居希望者の競争に繋がったりします。
当初の説明では数ヶ月分のフリーレントが付いているという話だったにもかかわらず、入居日から日割りで計算した数日分しか免除されないこともあります。
フリーレントは家賃が無料になるので、他の入居希望者も殺到して迷っている間に他の人に契約されてしまったり、いつの間にか最初に見た時と条件が変わっているケースもあったりします。何かとデメリットにも気を付けておきたいです。
フリーレントを利用する際のポイント
ここでは、フリーレントを利用する際のポイントについて見ていきましょう。
初期費用全体をしっかり確認する
フリーレントの利用時は、初期費用全体をしっかりご確認ください。
例えば、フリーレント以外の費用(管理費・共益費・仲介手数料など)がどれくらいかかるのかについてはあらかじめチェックするようにしましょう。
他にも、家賃がかからない代わりに敷金礼金が必要だったり、保証金が必要だったりします。そのため、お金に関する条件は、事前に必ず目を通しておくことが必要です。
契約書をよく確認し、リスクを回避する
フリーレントの利用時は、契約書を隅々まで確認し、リスクを回避するようにしましょう。
契約書は専門用語が並んでいることもあって、適当に目を通して終わる人もいますが、相手に有利な条件が記載されていることもあります。
違約金条項や特約事項などは今後の生活に関わるものだからこそ、より細かく目を通しておくことが大切です。
長期的なコストとライフプランのバランスを考える
長期的なコストとライフプランのバランスを考えることも、フリーレント利用時には欠かせません。
一見するとフリーレントはお得に見えますが、家賃が無料になる期間は短期的なもので、数ヶ月後には通常の家賃が毎月発生します。
すぐに退去するなら別ですが、大抵は1年ないし2年など数年単位で暮らすことになります。今後必要となるコストとライフプランのバランスについてはきちんと考えておくのがおすすめです。
フリーレントはどんな人に向いている?
最後に、フリーレントはどんな人に向いているかについて見ていきましょう。
初期費用を抑えたい学生や新社会人
フリーレントは、初期費用を抑えたい学生や新社会人に適しています。金銭的に余裕がない層にとって、家賃が無料の物件はスタートダッシュを切るのに良いです。
特に新社会人は1カ月が過ぎてからお給料が入るので、1~2カ月のフリーレントは助かると思います。
1か月や2か月など、決まった期間の家賃を払わなくて済む分、家具家電を購入したり、電気工事を依頼したりしても良いでしょう。もちろん、別途でかかる管理費・共益費・仲介手数料や敷金・礼金・保証金に回せば初期費用の大きな負担軽減になります。
短期的な住居が必要な転勤者や単身赴任者
フリーレントは、短期的な住居が必要な転勤者や単身赴任者にも適しています。「数ヶ月しか住まない」「半年しか住まない」という人にとって、フリーレントは魅力的な物件です。
ただ、フリーレントが付いている物件は基本的に長期契約を前提としているため、仮に短期解約すると違約金が発生する可能性があります。メリットとデメリットのよく考慮した上でお選びください。
仮に短期解約すると違約金が発生する可能性があります。メリットとデメリットのよく考慮した上でお選びください。
賃貸物件の選択肢を広げたい方
賃貸物件の選択肢を広げたい方にとっても、フリーレントは適していると言えるでしょう。
一定期間の家賃が無料になることで、選べる物件そのものの選択肢が広がるため、他の物件と見比べながらフリーレント物件にも目を通してみましょう。
地域によっては多種多様な物件タイプがあるので、より理想の住まいを見つけられるのではないでしょうか。
まとめ:フリーレントを賢く活用するために
フリーレントを利用する場合、メリットとデメリットを正確に把握することが重要です。あくまでもフリーレントは自分自身に合った物件選びのヒントにするだけにとどめ、将来的に払っていける家賃の物件を選ぶことが求められます。
家賃無料という響きは魅力的ですが、フリーレントは一時的なものであるため、フリーレントありきで話を進めると生活が破綻する可能性も否めません。
まずはフリーレントの注意点を理解し、後悔のない賃貸契約を結びましょう。
もし物件探しでわからないことがあるなら、契約前に専門家に相談するのも選択肢の1つかもしれません。なお、信和グループではフリーレント対象物件はもちろん、その他の物件も取り扱っているので、まずは気軽にご相談ください。