敷金・礼金なし物件の退去費用はいくら?相場と入居年数別の注意点
はじめに
「敷金・礼金なし物件」は、初期費用を抑えて入居できる点が魅力です。しかし、「退去時にどれくらい費用がかかるの?」「敷金がない分、あとから高額請求されない?」と不安を感じる方も少なくありません。
実際、敷金・礼金なし物件では、退去時に原状回復費用やクリーニング費を入居者が全額負担するケースもあります。そして、その費用は契約内容や入居年数によって大きく変わります。特に「2年」「4年」「6年」「10年」といった入居期間の違いで、どの程度の費用差が出るのかを理解しておくことは、退去トラブルを防ぐうえでも非常に重要です。
この記事では、国土交通省のガイドラインや大手賃貸サイトのデータをもとに次の内容について専門的な視点からわかりやすく解説します。
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・敷金・礼金なし物件の退去費用の相場
・入居年数別の費用目安と注意点
・退去費用を抑えるためのポイント
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最後には、敷金・礼金なしでも安心して住める「信和シリーズ」のおすすめ物件も紹介します。初期費用を抑えつつ、退去時の費用も賢く管理したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
敷金・礼金なし物件の退去費用はいくら?相場の目安を解説

近年、「敷金・礼金なし(ゼロ)物件」を選ぶ方が増えていますが、その反面、退去時の費用が不透明で「いくらかかるのか分からない」と不安を感じる方も多いでしょう。ここでは「敷金・礼金なし物件」を選んだ際に、退去費用がどの程度かかるのか、どのような要因で変動するのかを、専門的視点を交えて整理します。
まず、退去時に発生する費用の構成を確認しておきましょう。賃貸契約を終了して退去する際、主に以下の二つが費用の柱となります。
・原状回復費用(借主が契約時に借りた状態へ戻すための修繕/補修費用)=「原状回復」と呼びます。
・ハウスクリーニング費用(次の入居者を迎えるために物件を清掃/整備する費用)
この両者を合算したものが、退去費用として請求されるケースが一般的です。
また、契約時に “敷金がない”=「退去時の補填用の預け金がない」ため、入居者に対してより明瞭な請求が発生しやすいという背景があります。
ワンルーム・1K・ファミリータイプ別の平均相場
間取り(部屋タイプ)によって修繕・清掃範囲が変わるため、退去費用の平均相場も変動します。例えば、「ワンルーム/1K/1DK/1LDK」(一人暮らし向け)と、「2DK~2LDK」「3LDK以上」(ファミリー向け)を比較すると、広さが増す分だけ修繕・清掃箇所が増えるため、費用は高めになります。
具体的な数値例は以下の通りです(敷金なし物件を対象としたデータ)。
・ワンルーム・1Kあたり:約5万円前後(例:49,980円)
・2K/2DK/2LDKあたり:約8万円前後(例:79,924円)
・3LDK以上:9万円以上になるケースあり。
ただしこれはあくまで平均的な目安です。入居期間・使用状況・契約特約・築年数などにより大きく前後します。
敷金・礼金あり物件との費用比較
敷金・礼金あり物件(敷金・礼金を契約時に支払う物件)と比較すると、以下の違いが見えてきます。
・敷金あり物件
原状回復費用やハウスクリーニング費用の一部を敷金から差し引く形で清算できるため、退去時の「追加請求」が少ないケースが多い。
・敷金なし物件
上述のように預かり金がないため、退去時に実費請求がそのまま入居者負担となる可能性が高まります。
・契約書に「退去時クリーニング代負担」「原状回復特約」などが明記されている敷金なし物件の場合
契約時に把握していないと想定以上の請求を受けるリスクもあります。
つまり、敷金・礼金なしの物件は「初期費用を抑えやすい」メリットがありますが、退去時の追加コストというリスクを含むことを予め理解しておいた方が安心です。
退去費用が「いくらになるか」は入居年数で変わる理由
なぜ、同じ間取り・条件でも「2年住んだ」「6年住んだ」と入居年数が異なるだけで退去費用が変わるのか?その理由を整理します。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、借主が通常の使用・経年変化によって生じた損耗(例えば壁紙・床の色あせ・自然なへこみ等)は、貸主負担とするのが原則とされています。つまり、入居年数が長くなるほど「自然に発生する傷・汚れ」は借主負担ではないという考え方が広まっています。
短期居住では「新品に近い状態から大きな損耗があるかどうか」が審査されやすく、入居年数が長いと逆に「どこまでが借主負担か」が明確になり、貸主側・管理会社側も“通常損耗”を想定した請求に切り替わるケースがあります。
敷金なし物件では「退去時に○○円以上は支払います」「クリーニング代を入居時に支払っておいて下さい」など特約が付くこともあります。これらは入居年数や使用状況に左右されるため、契約時の理解が重要です。
以上の理由から、入居年数が異なれば退去費用の目安も異なるのです。
なぜ退去費用が発生するのか

退去費用が発生する根本的な理由は、貸主が次の入居者に部屋を貸し出すために「元の状態に戻す(原状回復)」必要があること、また「清掃・整備(クリーニング)」をしなければならないからです。
具体的には以下のような流れが関係します。
・入居中に生活することで、壁紙に小さな傷ができたり、床に凹み/日焼け/家具跡がついたり、設備に汚れや埃が蓄積したりします。
・退去後、貸主・管理会社は次の入居者を募集するため、室内を清掃・整備し、傷や汚れがある箇所を補修した上で貸し出します。
・この「補修・清掃」にかかる費用を、契約書上、どこまで入居者負担にするかが定められています。
・敷金がある場合は、まず敷金から相殺され、足りない分を請求するケース。敷金なしの場合は請求額がそのまま入居者負担になりやすいという構図です。
また、原状回復という言葉自体について軽く説明しておきましょう。
原状回復とは「賃貸借契約開始時の状態または通常相当と認められる状態に戻すこと」で、借主には原則この義務があります。とはいえ、「通常の使用・経年変化による損耗」は貸主負担とされるというのが、国交省ガイドラインの趣旨です。
このように退去費用は、「どの範囲を」「誰の責任で」修繕・清掃するかという契約や法的背景、実務慣例が複雑に関係しています。そのため、単純に「何年住んだらいくら」という基準だけでは判断できません。しかし、目安を押さえておくことは非常に重要です。
入居年数別に見る退去費用の相場と注意点

ここからは、実務者・管理会社・大家さん目線で、入居年数別(2年/4年/6年/10年以上)に「退去費用の相場」「特に注意すべきポイント」を整理します。読者は一般の方を想定していますが、契約・実務の視点も併せて解説します。
2年以内で退去する場合の費用相場と注意点
・相場の目安
入居から2年以内で退去する場合、敷金・礼金なし物件では おおよそ4~5万円前後 が一つの目安となります。例えば、あるサイトでは「3年以下/4万~5万円」程度というデータがあります。
他のデータでは「2〜3年で約49,431円」という具体例も提示されています。
ただし、前提条件として「通常使用・過失・著しい損耗無し」が含まれます。
・注意点
契約期間満了前の退去では「違約金(賃料1~数ヶ月分)」が規定されているケースがあります。敷金なし物件では特に初期費用を抑えている分、こうした違約金特約が付いている可能性も高いため、契約時に確認が必要です。
契約書に「退去時クリーニング代〇〇円 入居者負担」と明記されている物件も。敷金がないため、入居者負担が「一括請求」されるケースがあります。
入居直後に「既存の傷・汚れ」の写真や動画を撮っておかないと、退去時に「借主による損耗」という判断をされてしまう可能性があります。特に2年以内という短期では、壁紙のシミ・床のへこみなどが経年変化ではなく「借主の使用による損失」とされる可能性も出てきます。
4年住んだ場合の退去費用と経年劣化の扱い
・相場の目安
居住期間が「4年~」という範囲になると、敷金なし物件では 6〜7万円程度 を目安にするデータがあります。
ただし「4年」という入居年数には幅があるため、築年数・使用状況によってはこれより高額になることもあります。
・注意点
4年程度であれば、クロスの汚れ・傷・家具跡・床のクラック(割れ・ひび)などが出てくる時期です。契約書に「クロス張替えは入居者負担」と書かれている場合、自分負担になるケースがあります。
例えば、日当たりが良い窓際の床の色あせや壁紙の薄黄ばみは「経年変化」と判断される可能性が高くなります。一方、ペットによるひっかき傷・壁の穴・タバコのヤニ汚れなどは「通常使用とは異なる損耗」とされてしまうことがあります。契約時に「経年変化がどこまで借主負担にならないか」を確認しておくと安心です。
管理会社・大家さんによって「5年未満は借主責任」などの運用がされているケースもあります。こうした“慣習”を契約書で確認し、紛争にならないように立会い時・返却時には記録を残しましょう。
6年住んだ場合の退去費用と相場の目安
・相場の目安
6年程度の居住となると、敷金なし物件でも 7万円前後~ が目安となってきます。具体的な公表値は少ないものの、「4〜6年以下」のレンジを6年として捉えた場合、6~7万円というデータもあります。
・注意点
例えば、冷蔵庫・エアコン・給湯器など、一般的に「寿命10年程度」とされる設備の交換・補修が必要となる場合、長期入居者には貸主側の設備更新負担になるケースがあります。逆に言えば、6年程度なら「交換時期」まで至らず、借主負担になる補修範囲が限定される可能性があります。
例えば壁紙張替えを借主負担とするとしても「4年で100%張替え」という根拠は薄く、「張替えまでの使用期間」「材質・貼替え費用の原価」などを考慮すべきという論点があります。実務的には“6年以上なら通常損耗扱い”という交渉ポイントになることもあります。
6年住んでいても、ペット・喫煙・著しい傷・水漏れなどがあれば、使用年数が長くても入居者負担となる修繕が増え、費用が高額になることもあります。
10年以上住んだ場合の退去費用と原状回復義務
・相場の目安
10年以上住んだ場合、敷金なし物件でも 3~5万円程度 や“ほとんど請求なし”というケースも報告されています。例えば、あるデータでは「10年以上:3~5万円/あるいは無料に近いケースもありうる」とされています。
・注意点
10年以上となれば、壁紙の色あせ、床の摩耗、設備の定常的な劣化など「普通に使っていれば発生する範囲」とされる損耗が大きくなります。これにより貸主負担となる割合が高まります。
10年以上の使用年数があれば、「全取替え」ではなく「部分補修」や「クリーニング」だけで済むことも多く、結果として入居者負担が小さく抑えられる可能性があります。
10年以上住んでいても、例えば床に大きなへこみ・穴、ペットの引っかき傷、タバコのヤニ蓄積、故意の破損などがあれば、通常損耗を超える破損と判断され、借主負担額が大きくなることがあります。
契約時に「10年以上住んでもクロス全張替えは借主負担」などの特約を設けている物件もあります。契約書・特約の内容を退去前に改めて確認し、貸主・管理会社と交渉する余地を持っておきましょう。
退去費用を抑えるためのポイント

敷金・礼金なし物件を選ぶ際、退去費用のリスクを抑えるために入居前・入居中・退去時それぞれで押さえておきたいポイントがあります。契約者(入居者)として能動的に対応することで、後々のトラブルを防ぎ、費用を軽減できる可能性が高まります。
入居時に「原状回復ルール」を確認しておく
契約書・重要事項説明書上で「原状回復特約/清掃代負担/クリーニング代の目安/修繕費の明細・基準」などが記載されているかを必ずチェック。敷金なし物件では、こうした特約が付いていることが多く、内容を知らずに契約すると後で驚く請求となることがあります。
ガイドライン上、「経年劣化・通常損耗」を借主が負担すべきでないという考え方があるため、契約内容がそれを極端に超えるものとなっていないかを確認。例えば「入居2年でクロス全張替えを入居者負担とする」という条項がないかなど。
入居立会い時や鍵受取り時に、部屋の傷・汚れ・設備の不具合を写真・動画で記録しておく。入居当初の状態を把握しておくことで、退去時に「入居後についた傷か、既存のものか」を巡るトラブルを防ぎやすくなります。
入居中にできる節約対策(汚れ・傷を防ぐ工夫)
入居中にできる節約対策には、以下のようなものがあります。
退去時に費用トラブルを避けるための交渉術
退去時に提示された見積もり・精算書をよく確認。「どの箇所を誰の責任で、どの費用で修繕したのか」「どの範囲を経年劣化として貸主負担としているか」が明記されているかチェック。曖昧な場合は説明を求めましょう。
「この傷は入居時からあった」等の証拠(入居時写真・動画)を提示できると、請求額を減らせる可能性があります。
管理会社・大家さんとの間で、亡失・破損以外の修繕が「借主負担か貸主負担か」の根拠(ガイドライン・契約書)を確認し、「通常使用の範囲かどうか」を主張する余地を探しておきましょう。
長期入居(例えば10年以上)であれば、「通常損耗として借主負担を軽減すべき」という観点から交渉可能性が高まるため、この点も念頭に置いておきましょう。
不当な請求・水増しの疑いがある場合には、地域の消費生活センターや賃貸トラブル相談窓口に相談することも検討すべきです。
まとめ|敷金・礼金なし物件の退去費用は相場と年数を知れば怖くない
「敷金・礼金なし物件」には初期費用を抑えられる大きなメリットがありますが、その分、退去時の費用については事前にその構造と相場を理解しておくことが非常に重要です。
・初期費用を抑えたぶん、退去時の追加コストが発生しやすいという構図を理解しましょう。
・入居年数(2年・4年・6年・10年以上)によって、退去費用の負担割合は変わります。短期であれば「借主の負担が大きく出る可能性」、長期に住めば「経年劣化として貸主負担となる可能性」が高まるという傾向があります。
・契約時・入居中・退去時の三段階で、契約内容の確認・記録保存・清掃及び交渉を意識しておくことで、トラブルや過剰請求を避けることが可能です。
・「相場を知る」「契約内容を理解する」ことで、敷金・礼金なし物件でも安心して入居・退去を迎えられます。
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